『15.ケンカ』


浅羽は基本的に平和主義なので、出来る限り揉めごとは避けたいなと思うタイプで。
性格上、自分が悪くないのに自分が悪いのかと責めてしまいがちになってしまう。
多分、そういった部分もあるからだとは思うのですが。

時折日記に書いたりする、一番古い友人(仮にAさんとします)との出会いは、
高校1年の時にクラスメートになったのがきっかけで知り合ったわけですが、
そのAさんとケンカといったケンカはほとんどないに等しい感じです。
その中で、今までで一番記憶に残っているケンカとはいえない(?)感じの、
思い出話を今回はしようかと。


Aさんとは高1の時に初めて会った方だったわけですが、
何かのきっかけがあったから友人になったと言うわけではなかったと思うのですが、
席が浅羽の斜め前だったこともあってか結構早くから仲良くなりました。
移動教室などに移動する時なども一緒に行動していた感じだったので、
周りから見たら、中学も一緒だったのかと間違えるくらいだったみたいです。

そんなAさんとケンカ(みたいなもの)があったのは、ある日のこと。
集会か何かで体育館に移動する時に、浅羽はトイレに行きたくなりまして、
Aさんに向かって「トイレに行ってくるから」と言って行ったのですが、
教室に戻るとAさんはおらず、付近を探してもいなかったので、結局一人で移動。
するとAさんは体育館にすでにいたのです。

トイレと伝えてあったのに勝手に行ってしまったことにカチンと来てしまいまして、
その日はそこからAさんの近くにも寄らず、口も利かない状態に。
周りの人も何時も一緒というくらいだった二人の様子がおかしいと思ったのか、
「○○さん、何かあったの?」と聞かれても「あっち(Aさん)に聞いてくれ」と
返事をするくらいの苛立ちようでした。

しかししばらく経ち、落ち着いて色々と考えると不安になってきまして。
「ほとんど何時も一緒で、待っていてくれているものと思い込んでいたけれど、
知らぬ間に、そういう行動をとられるようなことをしてしまったのではないか」と。
そう思い始めてしまうと、色んな方向へと考えては自分を責めがちになってしまうのです。
そもそも、どうしてそうなったのかはっきりとした原因が分からなかっただけに、
余計にそう思えてしまったのかも知れません。


そこで未だ携帯など持っていない頃だったので、手紙を書くことに。
もう何年も経ってしまっているので、記憶もあやふやですが(汗)
「黙って行ってしまったことが頭にきたし、悲しかったこと」
「待っていてくれるものだと、一緒に行くものだと思い込んでしまっているのは、
もしかしたら、自分の独りよがりだったのかも知れないということ」
そして最後に、「この手紙は読んだら捨てて欲しいということ」
大体そんなようなことを書き、直接かどうかは覚えていませんが、渡しました。

しばらくした後か、Aさんは自分の机に座っていた浅羽の所に来て
「あの手紙は捨てたから」と一言。
このケンカ(?)は終わりを迎えました。

実際のところ、あの時浅羽が言った言葉は周りの音がうるさかったために
Aさんは聞き取れていなかったとのこと。
しばらくしても浅羽がこなかった為に、先に行ってしまったという話でした。


今思えばAさんは本当は手紙を捨てていなかったかも知れない。
しかし浅羽が「捨てて欲しい」と望んでいたことを、例え嘘だったとしても
「捨てたから」と言ってくれたことは、その時の浅羽にはとても安心出来たことでした。
まぁ、それ以前に素直な方なので、疑わずとも捨ててくれたと信じてますけどね。


浅羽は基本的には平和主義。
当たり前ですが、ケンカ自体したくないというのが本音です。
そうでなくても口をつむみがちになってしまう性格だったりもしますが(汗)
しかし、どんなに仲が良かったとしても相手の態度や言葉や行動などでは
確実に距離を取らせていただくこともあります。

ただ我慢しているほど浅羽は寛大でも大人でもありませんのでね(苦笑)
その後のことはその人の行動自体です。


2004/12/30(THU)〜2005/1/15(SAT)



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