『いまのすべて−Stories−』


最近、情緒不安定な気がする。

それは、ただ単に僕の勘違いなのだろうか。
だけど、夜に一人になると得も知れぬ不安が頭の中を駆け巡る。
仕事は取り合えず順調なはずだし、人間関係も悪くはないはずだ。
でも、この不安は日ごと増していくばかりだ…

「僕は一体何者なんだ」
「一生このままでいるしかないんじゃないか」
「誰も僕を認めてなどくれないんじゃないか」
「自分らしさって何だ」
そんな自分を否定する言葉たちが頭でグルグルする。

何時になったら この不安は消える…?

「僕は何を信じ、どうすればいいのだろう。」
不安で不安でたまらない。
夜が来ることにさえ、怯えてしまいそうだ。

だけど、僕はこの不安を誰にも言えない。
正直 誰に言っていいのかすら分からない。
誰かに言ってしまえば、きっと心も晴れるのかも知れない。
でも、それはただの愚痴にしかすぎないのだろうか。

僕は昔、同学年からシカトをされ続けていた。
理由は未だに分からないままだ。
多分 あいつらからすれば単なる悪ふざけだったのだろう。
だけど、僕の心は未だにそれを理解してはくれない。

「周りから笑われているんじゃないか」
「そんな過去があったことを隠し続けなければ」
そんな意識がいつもどこかにあるんだと思う。
その証拠に、僕は人と目が合わせられない。
そんな自分を見透かされてしまうような気がして。

そんな僕でも、今は友達と呼べる者たちがいる。
だけど、僕の過去は誰も知らないだろう。
決して 信頼していないんじゃない。それだけははっきり言える。
だけど…。

多分僕は、そんなことを言いながらも、人を信じきれないのかも知れない。
何時か裏切られるんじゃないかと怯えているのかも知れない…。
「本当に僕の事を友達だと思っているのか?」
「本当はそんなフリをしていながらどこかで笑ってんじゃないのか?」
そう疑いながらも、心のどこかでそんなことはないと思いたいのだろう。
そう信じていたいのだろう。

誰にも一生聞くことはない。聞くことさえ出来ない。

夜が来るたびに不安と戦って、考えてしまうのはそんなもんだ。
嫌な過去だけが付きまとう。

苦しい… 苦しい… 苦しい…
早くこの不安から逃れられないのだろうか。
誰かに言ってしまえば、楽になれるのか?
でも、きっと僕はこれからも誰にも言えないままだ。

きっと周りの人は そんな僕になど気付いてはくれないだろう。

僕は嘘つきなのかも知れない。
僕は今まで、何でもないような顔をし続けてきた。
落ち込んでいた時も 翌日には普通の顔をしていた。
本当はまだツラかったのに…

これは、きっとそんな僕への罰なのだろう。
いざ本当にツライ時、どうしていいのか分からなくなっていた。
誰にも言えなくなっていた。


…あぁ、また今日も色々と考え込んでしまった。
あまりにも色んな不安が頭の中を駆け回りすぎて、気分が滅入る。
このまま毎日この繰り返しなのだろうか…。

−ピリリリリー ピリリリリー−
携帯が鳴った。

こんな時間に誰だ?普段なら絶対に有り得ない時間なのに…
携帯を見た。
数少ない女友達からだった。

−ピッ−  
「…もしもし」
『あ、ごめん!もしかして寝てた?』
「いや、まだ起きてたけど?」
『あ、そう?良かった…』
ほっとしたように彼女が話す。
さっきまでの滅入っていた気分が、そんな他愛のない言葉で和らいでいくのが分かる。

『何となく、声が聞きたくなったんだよね』
「…そう」
『あ、あのさ…』
「ん?」
彼女は何か言いかけて、言葉が止まった。

『……大丈夫?』
「………」
胸の奥が締め付けられたような気がした。
一瞬、何も言えなくなっていた。

『あれ!?もしもし??』
その言葉でハッとした。
「あぁ、ごめん、ごめん。いきなり言うからさ…」
声がうわずりそうになりながらもそれを隠すように答えた。
『う〜ん。そう言われると、良くは分からないんだけど…何となくそう言いたくなったんだよね』
「………」

ふと気が付くと涙が頬をつたい落ちていた。
それを、手で拭った。

「…いや、何だか分からないけど、大丈夫だよ?」
図星だったと悟られないように、少し笑いながら言う。
『あぁ、そうならいいんだ。いきなり変なこと言ってごめんね〜!』
ほっとしたように彼女も声のトーンが明るくなった。

ちょっと会話をして電話を切る寸前に、思わずこぼした。
「……ありがとう」
『えっ?』
−ピッ−
そんな彼女の声が聞こえたと同時に電話を切った。


電話を切った後、しばらくすると涙が止まらなくなっていた。
「僕は今まで何を考えていたんだ」
そう思わずにはいられなかった。

「こんなにも心配してくれる人がいながら、それを疑っていたなんて…」
そう気付いた瞬間、心が軽くなったような気がした。

どれもこれもすべては僕の心の中の空想でしかなかったのだと改めて思い知らされた。

多分、これからも不安になる日は来るだろう。
だけど、もう大丈夫だと思う。いや、大丈夫だと信じている。
君の『大丈夫?』って言葉を思い出せる限り、もうあんなに不安定になることはないだろう。
これもみんな君のおかげだ。


今回のことで気付いたことがある。
周りの誰かが僕を嫌いになって 離れていったとしても
僕は 僕である限り、僕からは離れられないんだと。
だから、もっと自分を好きでいようと思った。
好きでいたいと思った。

君がいたから、皆がいたから、僕はここにいて、ここで笑える。
今はそれが大事だろう。

「ここにいる僕が、今の全てだ。」
声を大にして、きっと今なら言えるだろう。
あの日々があったから。


君のくれたあの言葉が僕を変えたんだと知ったら、君はどんな反応をするのだろう。
何時か聞いてみようと思った。



2002/12/14(SAT)〜2002/12/15(SUN)


                      
何だか良く分からない文章になっていますが、自分の詩を書き始めて10周年記念に書いてみました。
浅羽にとっては今までに書こうとも考えたことのない、初の試みです。文章を書くのが嫌いな人間なはずのに、どうしてでしょう?(笑)
多分、今までやってこれたことに対して、いつもとは違う自分流のお祝いなのかも知れません。

内容的には「いまのすべて」をモチーフに書いてみました。ってタイトルを見れば分かりますね(笑)ちょっと(だいぶ?)暗い感じに
なっていますが(大汗)
はっきり言って、作品に対しての自信はないです(汗)ちゃんと話は伝わったのか?などの不安で、かなり心配になっています(汗)

浅羽は、何だかもうこれだけでかなり燃え尽きたような気分です(笑)


2002/12/15(SUN) 

(C)Tsukasa.Asaba
clip art by 絵夢