『手紙−Stories−』
あれから2年が経ちました。
君は今も元気ですか?
たった9ヶ月と言う期間だけのメル友だった君に対して、
ここまで想っていた僕を、君はきっと馬鹿だと思うだろう。
でも僕はそれで構わない。それが僕なんだから。
君とメールを交換するようになって、次第に僕は君に心を開くようになっていった。
偶然とはいえ、同い年で同じ県。そして君のメールから感じた優しさがそうさせたんだと思う。
散々「メル友なんて」と毛嫌いしてきた僕がだよ?今思えば、何だか笑えるくらいだ。
君が恋人との結婚を決意して、知り合いが誰もいないこの県に来たことも、
いずれは結婚することも、話には聞いていて知っていたけれど、
僕には、それがまだまだ先のことだと思っていたんだ。
今のこの時がずっと永遠に続くと思っていたんだ。
それが君のたった一言で脆くも崩れさるだなんて、当時の僕は気付きもしなかった。
『来年、結婚することに決まったよ』
君はきっと、僕が心から喜んでくれることを期待してくれていたと思う。
もちろん僕も本当に嬉しかった。
でも…
それと同時に僕は悲しくなってしまった。
何だか君が遠くに行ってしまうような気がしてしまったんだ。
そのことを君に告げた時、
『結婚しても自分に変わりはないし、変われないと思う』
そう言われたことで、気持ちが楽になれた僕がいた。
しかし、同い年の君が結婚することで、僕の方に変化が訪れるようになってしまった。
訳も解らないまま、悲しくて悲しくて涙が止まらなくなった。
人前では泣きたくないという気持ちが強かった僕だけど、
気が緩んだら今にも泣いてしまいそうなほどだった。
思っていることをなかなか多く語ることの出来ない僕だったから、
ずっとそんな日々を一人きりで抱えてしまっていたけれど、
「何だか悲しくて仕方がない」
と先輩に言ったら
『それは焦りだよ』
そう言われて、一気に心が浄化されたようにスーッと軽くなれたんだ。
だけど、次第に今度は自分自身を否定する言葉たちが
僕の頭の中をグルグルと回り続けるようになった。
普段は皆と笑っていたりしていた僕だったけれど、
夜に一人きりになると日々違う言葉が僕を苦しめる。涙が止まらない。
そして何時しか眠りに就き、また同じように日々が巡る。
そして、その頃に先輩の退社、部署の上司からのプレッシャー、職場の役員でのストレス。
そんな日々も加わって、次第に僕の心には余裕がなくなってしまっていたのだろう。
君からの些細な言葉にさえも、怒ったり悲しくなってしまうようになってしまった。
尚且つ僕は、その怒りや悲しみを君に伝えることで、
僕を理解して欲しいと思うようになってしまったのだと思う。
普通に接していたかと思っていたら、次の瞬間には感情丸出しの言葉たちを発せられて、
君はきっと、戸惑ってばかりいたことだろう。
でも当時の僕は、それが間違いだとは気付きもしなかった。
ただ、こんなにも真剣に話したことなのに、どうして解ってくれないんだと
勝手に一人で自分の首を絞め、知らぬ間に自分をどんどん追い込んでしまっていた。
しかし、それだけ僕は不安だったんだ。
「自分が思っているほど、君は僕を想っていないのではないか」
君の言葉に怒ったり悲しんだりしているうちに
何時しかそんなふとしたことが自分の不安となってゆく。
そして何時もなら笑って言えたことさえも、笑って言えなくなっていた。
心を開いているとか言いながらも、誰にもこの想い、不安を言えなかった。
でもそれは、いつの間にか自分のクセになってしまっていた、
「心配を掛けたくない」
その想いが、僕を誰にも話せなくさせてしまっていた。
『それで心を開いていると言えるの?』
と言われてしまっても仕方のないことだろう。
不安で不安でたまらなくて、根拠も何もなく君に会えば楽になれる気がする。
そう思っていても、たった一言の
「会いたい」
という4文字を伝えるさえ僕は出来なかった。
「忙しいだろうに、そんな僕の我儘に付きあわせてはいけない」
「場所も近くないのに、そんなことにお金を掛けさせてはいけない」
たかだか2,3千円もあれば十分な所なのに、そういったことさえ考えてしまう。
だから気安く
「遊ぼう」
とかと誰にも言えずに、相手から言われるのを待ってしまう。僕はそんなヤツなんだよ。
だから
「最近、色んな言葉が頭をグルグルする」
それだけでも君に言えたことは本当に凄いこと。自分でも驚くぐらいだった。
なのに
『その原因が自分だったら、ごめん』
…その一言は、僕には悲しくて仕方がなかった。
僕が欲しかったのはそんな言葉なんかじゃなかった。
もし君から
『何かあった?』
と言われてしまったら、多分想いのすべてを君に話してしまっていたかも知れない。
それが予測に過ぎなくても、僕にとって君はそれだけの存在だったんだ。
そして…あの日。
君の言葉が僕との約束を忘れてしまっていたとしか思えなかった。
だから悲しくて想いを君にぶつけた。
しかし、君の次の言葉は、僕を一気に谷底へと突き落とした。
『自分の言葉で傷付けてしまうのなら、もう続けられない』
その一言が何よりもショックで苦しかった。
[今の状況とこの想いを解って欲しい]
そう思いきちんと告げようと電話をしたが、いくらかけても留守電。
留守電にメッセージを入れてちゃんと告げようと思えば思うほど、
上手く話すことが出来ない。
その晩、僕は初めて眠れない夜というものを経験した。
それまで、どんなに悩もうとも少なからずいつの間にか寝ることは出来ていた。
しかし、この夜だけは違った。
目を閉じても思い出すのは君の顔。
そして、君を失いたくないと言う想いがそうさせたのか、一睡も出来なかった。
眠れない夜の中で考えたことを君にメールしたけれど、君からの最後の言葉は
『電話もメールもしないで
これ以上悲しい思い出は作りたくない』
…何時か君は僕に言ったね。
『言葉って人柄を表している気がするんだ』
って。
そこまで言ってくれた言葉は嘘だったの?とさえ思ってしまうけれど、
そう言ったことを忘れてしまうほど、僕は君を苦しめていたのかも知れない。
でも、僕がそうさせてしまったのかも知れないけれど、
君の最後の言葉はあまりにも悲しく、そして僕の胸を今でも締め付ける。
もしもあの時、君にその時の状況を早く告げていたのなら…
もしもあの時、素直に「会いたい」と言っていたら…
二人の未来はどうなっていたのだろう?
そんな二度と知ることも出来ないことを時折考えては、
君をまた思い出している僕がいた。
でも、君へのけじめのためにも僕が君に出来ることは、
時間がかかっても君を忘れることなのかも知れない。
ふとそんなことを考えた。
その後、悲しみに明け暮れた毎日を過ごしていたけれど、
1年くらいゆっくりと時間は掛かりながらも、
今は君を思い出すことも少なくなってきた。
ささやかながらも夢を実現出来たし、仲間も出来た。
一時期は心を閉ざしてしまおうかとも思ったけれど、
それも僕にはなかなか難しいようだ。こんな性格だからね。
君にしてしまった過ちは繰り返さない。繰り返したくはない。
それは相手のためにも、そして、僕らのためにも。
…あとは君のことを忘れることだけなのかも知れない。
前に一度手紙を出したけれど、きっと読んでいないだろう。
でも、出来たら今回だけは読んで欲しいと願っている。
僕と君との未来のけじめのために。そして君を忘れるために。
…Last lettre for you
2004/1/6(TUE)〜2003/1/7(WED)
詩『手紙』に添えて。初めての同時掲載です(笑)
単なる未練たらしいだけかも知れないけれど…
僕の言い訳すらも聞いてもくれずに去って行く君が悲しい。
ちゃんと言葉で語らずに一言だけ告げて去って行く君が悲しい。
だから自分のけじめのためにも、あなたへ手紙を書くことにした。
…僕はこれっぽっちも優しくなんてないんだよ。
ということで(汗)
またも解りづらい文章ですいません(苦笑)
2004/1/7(WED)
(C)Tsukasa Asaba
photo by MIYUKI PHOTO