『ANSWER -Stories-』


カッチ カッチ カッチ…

何時の頃からか覚えていないけれど、夢の中でいつも流れていたメロディーがあった。
だからといって、見る夢までもが同じだったわけじゃないけれど。

だけど、それはなんだかとても心地良いような、懐かしいような、そんなメロディー ―――


ジリリリリ−

けたたましい音を立てて目覚まし時計がセットした時間を告げる。
「ふぁ〜!もうこんな時間か…」
大きなあくびをしながら、目覚まし時計を止めた。

いつも夢の中でメロディーが流れていたことは覚えていても、
目が覚めるとそのメロディーがどんな感じだったのかが、いつも思い出せない。

頭を掻きながら、未だ目が冷め切らないボーっとした状態の中でしばらく考えてみる。
「何の曲だろう…昔の曲だったかなぁ?最近リメイクされたものが多かったからなぁ…」
でも、それなら思い出せるはずなのに、あてはまるものが何一つ浮かびもしない。
「いい加減、そろそろ起きないと…」
観念するかのように、ベッドから降り、顔を洗いにいった。

歯を磨きながら思い出したことといえば、
「そういえば、同窓会のはがきの返事を出してなかったっけなぁ…」
なんてことで。

先週はがきが届いて、参加に○をしておきながら、そのままテーブルの上に置いたままだった。
一人暮らしを始めてから、ほとんど家にも帰ってない状態。
同窓会ということを機に、久しぶりに家に帰ろうかなって思った。

テレビを見ながら簡単に朝食を食べ、着替えて家を出る。
同窓会のはがきを持ったことも確認。
そして近くのポストにはがきを入れて駅に向かうと、いつもと変わらない一日がまた始まる。


一ヵ月後、同窓会のために家へと向かった。

玄関を開け
「ただいまー」
と一言いうと、台所からおふくろがパタパタと音を立てて走ってきて
『あら〜珍しいじゃない』
なんて、ちょっと驚いた顔をしながら話してきた。

「明日同窓会があるから、良い機会かなって」
『まったく、来るなら来るって言ってくれれば良かったのに』
「いつもので良いんだよ、おふくろ」
そう言いながら、荷物を持ったまま2階の自分の部屋へと向かう。

部屋に入り荷物を置き、グルッと部屋を見渡してみる。
久しぶりだけど、やっぱり家は落ち着く。

翌日、僕は同窓会へ行った。
ほとんど卒業後は会ってない連中ばかりだったから、変わっていながらも昔の面影もあって
一気に当時に戻ったかのように皆と飲みながら、話し込んでは笑いあった。
結局この日はベロベロになるまで飲んでしまい、家へと帰った時には日付がとっくに変わっていた。


昼過ぎに目が覚め、縁側に座ってぼんやりとしていると

♪〜♪♪〜

何処からが聴きなれないメロディーが聴こえた。
でも、何となく何処かで聴いたことのあるような懐かしい感じもする。

音の聴こえる方へ顔を向けると、そこには洗濯物を干しながら鼻歌を歌っているおふくろが。

「…その曲って…」
『ん〜?あぁ、これ?母さんが昔、ピアノを習っていたことは知ってるでしょ?』
「家のピアノでたまに弾いてくれたよね。僕にも少し教えてくれたし」
『そのせいか、たまに鼻歌程度だけど曲とか作ったりしてたんだよね』
「へぇ〜そうだったの?初耳」
『そりゃ、今初めて言ったんだもの』
おふくろが笑いながら言う。

『この曲、あんたたちが小さい頃によく歌ってたヤツだよ』
「何となくだけど…覚えてる気がする」
『そう?』
そういうと、おふくろはまた鼻歌を歌いながら洗濯物を干していた。


その夜、夢でまたあの曲が流れた。
でも、今日の見た夢は、いつも見る夢とは明らかに違っていた。
同級生や今の友人、家族など、今までに出会ってきた色んな人たちが登場していた、
そんな夢だった。

その夢の中で僕は、本当に嬉しそうに笑っていた ―――


そこで目が覚めると、何故かそのまま夢の中のメロディーが頭の中で流れ続けていた。
昨日見た夢の内容を思い出していると、突然ハッとしたかのように思いついたことがあった。

「そっか…あのメロディーは、今までの僕から生まれた曲だったんだ…」
これまで生きてきて、僕が出会ってきた人々や物事がこのメロディーを生んだのだと。
だから、いくら何の曲か思い出そうとしても、思い浮かばなかったのだ。

そう気付いたら、今までのことがスッとイコールになった気がした。

ガバッと布団から起きると、髪もボサボサのまま慌てて部屋を出て
「悪い、ちょっと奥の部屋にいるから!」
そう一言いうと、ピアノの置いてある奥の部屋へと走りだした。
あのメロディーを、忘れないうちに書き残しておきたいと思ったからだ。
そのまま、しばらく奥の部屋に閉じこもっていた。

数時間後

「出来たぁ〜」
と達成感を感じながら、僕は満足気にノビをした。

メロディーを書いた紙を見ていると、ふと
「あ、タイトルつけないとな…」
なんてことに気付く。

しばらく考えていた僕は、あるタイトルがひらめくと、紙の一番上にでかでかと書いた。


この曲のタイトルは

 ≪ ANSWER ≫

このメロディーは、きっとここまで生きてきた僕の答えだと思うから。



2004/2/24〜2004/6/4


このシリーズ(?)最後の北山さんをイメージした「ANSWER」から書いた作品です。
しばらく書かないとダメですね〜(汗)なかなか湧いてこないんですよ…
と、ちょっと時間の掛かった言い訳をしたりして(苦笑)

ちょっとこじ付けが多いかも知れませんが、何となく詩の雰囲気が出たかな〜なんて思ってみたり。

もしも、この作品と同じように、今まで生きてきた自分からの曲が出来たとしたら、浅羽の中のメロディーは一体どんなものだろう。
もしかしたら、明るいメロディーと暗いメロディーとが一曲の中に入り混じり過ぎて、
浅羽以外、誰にも理解出来ず、誰からも好まれることのないメロディーだったりして(笑)

…でもきっと、それでも良いんだと思う。
それが浅羽の中から生まれたメロディーであるのならば。


2004/6/4(FRI)

(C)Tsukasa Asaba
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