八月の鯨


あの一言で、長く育んできた愛を
凍らせてしまった。

ただ、いつもの調子で、冗談のつもりで
言っただけなのに…。


「てつのそういう冗談、もう耐えられないよ…。
本気で私のこと好き?…てつの気持ちが見えないよ。
もう、終わりにしよう…?
もう、無理。てつにはついて行けない。」



俺は、お前がいつも我儘言わないから、
俺がいなくても平気なのかって、
不安で、不安で仕方なかったんだよ…。

だから、
「俺がいなくても平気そうだよな。」
なんて言っちまったんだよ…。

冗談だってわかってたんだろ?
どうしてもっと我儘言ってくれなかったんだよ…?

俺にはお前がいなきゃ駄目なんだよ。
お前じゃなきゃ駄目なんだよ。

諦められない。

忘れられない。

まだお前の事が好きだ。

もう二度と会えないのか…?



ああ 戻れないのは 君のせいだし
ああ 進めないのは 僕のせいだね








-END-





浅羽 司さんからのキリリクでした〜。
村上さんで、切ないお話ということでしたが…。

いかがでしたか??

愛しているからこそ知っておくべき相手の領域。
愛しているからこそ見えない相手の領域。
そして、それを見据えて、受け止めようとする自分の心の領域。

付き合うっていう行為には、
そういう”領域”があると思うのです。(あくまでも個人的主観。)

このお話の彼と彼女は、
お互いがしっかり見えていなかったんですね、きっと。

どんな時も相手の立場に立って。

これが大事ですね。


…語っちゃいました。
すみません(汗)

よかったら感想聞かせて下さいね♪

       管理人・北山 陽




星屑の砂時計にてカウンター「2600」を踏んでいただいた作品です。
「村上さんで切ない話」ということでお願いしました。

この作品への即興詩

   『八月の鯨』

   「あの一言が 俺たちの愛を凍らせた
    お前が冗談だと 思ったその言葉は
    俺の不安から 思わず零れた本音だった

    どうしてもっと我儘を 俺に言わなかった?
    冗談と解ってるなら 怒って欲しかった
    お前じゃなきゃダメなのに こんなに愛しているのに
    その想いはもう二度と お前の元には届かない?

    戻れないのは君のせい 進めないのは俺のせい」


「素直に言えないからふざけてしまう彼と、ふざけていることを真に受けてしまう彼女。
 相手の中身が見える前に、互いに中身を見せなかったせいで起こった出来事」
そんな感じがしました。
互いに相手の中身を見ようとしていたら…こうにはならなかったのでしょうか。
難しいですね。

北山 陽さん、ありがとうございます。


2003/8/9(SAT)

(C)Hikaru Kitayama
clip art by Little Eden